“見えない快適さ”を形にするために
前編でお話ししたように、SOLitudeの開発は「着たい」と「動きやすい」を両立させることから始まりました。けれど、その言葉を実現するのは簡単ではありませんでした。
肌ざわり、縫製、通気性、見た目。
どれかを少し変えると、他のバランスが崩れてしまう。
完成までの半年間、試作は20回以上。一度形になっても、実際に動くとどこかに“違和感”が残る。その小さな違和感を、ひとつずつ丁寧に潰していく日々が続きました。
今回は、その開発の舞台裏を少しだけご紹介します。
1.襟ぐりと肩の、絶妙なバランス

最初に立ちはだかったのは、襟ぐりの設計でした。
ゴルフのスイングは肩を大きく回す動作が多く、襟ぐりが浅いと首まわりが突っ張る。
かといって深くすると、肩線がずれて見た目が崩れやすい。
「浅すぎても見える、深すぎても動かしづらい。」
このジレンマを解消するために、デザイナーと縫製チームが何度もパターンを引き直しました。
さらに、肩の可動域を確保するために、ミリ単位で縫製位置を調整。
ワイドにすると肩の縫い目が外れ、狭めると動きが制限される。
機能とデザインの“ちょうど真ん中”を見つけるために、何度も試着を重ねました。
2.“見た目メッシュ”では終わらない、通気性への挑戦
次の課題は、夏の暑さへの対応。
多くのインナーは「メッシュ」と呼ばれる構造を採用していますが、実際には通気性が足りないことが少なくありません。
厚みのあるメッシュは風を通すよりも“乾きやすいだけ”で、汗冷えを防ぎきれない。
SOLitudeが採用したのは、最も薄く、しなやかで、体に沿うメッシュ生地。
通気性を確保しつつ、肌あたりをなめらかにするために、糸の撚りと編み目の方向まで検証しました。
屋外では涼しく、クラブハウスでは冷えすぎない。
この“二つの温度帯”を一枚でカバーすることを目指しました。
3.股下がずれない、そして足元まで快適に

レッグウェアの開発中に多くの女性ゴルファーから寄せられたのが、「歩くと股下が下がってくる」「つま先が滑って気になる」という声でした。
まず、股下のズレを防ぐために、脚を左右別々に編み上げ、最後にウエスト部分で一体化する独自の編み設計を採用。これにより、生地全体の伸縮バランスが整い、動きにフィットしながらも引きつらない仕上がりに。プロゴルファーの試着でも「長時間歩いても下がらない」「スイングしても引っ張られない」と高評価を得ました。
さらに、足先の設計にも工夫を重ねました。
当初は“つま先まで覆うタイプ”も検討しましたが、その編み方では滑り止めを取り付けることができず、
無理に付けても剥がれやすいという課題が判明。
そのため、最終的にはトレンカタイプ(かかとにひっかけるタイプ)を採用しました。
この設計なら上からソックスを重ねても快適で、滑りやすさや汗による不快感も軽減。
プレー中の安定感を損なわず、足元まで機能と見た目を両立させています。
4.ミシンが生む、やさしい着心地
この製品の特徴のひとつは、一着ずつ職人が仕上げていることです。
生地が非常に繊細なため、仮縫いや待ち針を多用すると針穴やシワが残ってしまう。
そのため、職人がスチームをあてながら微調整し、線を“手で描くように”縫い上げています。大量生産には向かない方法ですが、そのぶん仕上がりの滑らかさは格別。
肌に直接触れる部分ほど、目立たないところで違いが出る。そんな信念のもとで、縫い方にも手間を惜しみませんでした。
5.サテンのリボンで、見えない心地よさを
インナーで意外に多い不快感が「洗濯表示タグのチクチク」。
SOLitudeでは、タグ部分をサテンのリボン素材に変更し、インナーの色に合わせて一つずつ染色。
見た目にも響かず、肌にもやさしい仕上げにしました。
小さな工夫ですが、これが着用中の“ストレスゼロ”につながります。
法令を守りながらも、できる限りの快適さを追求する。
そんなブランドの姿勢を象徴するディテールです。
6.数字が語る、開発への情熱
試作回数は20回以上。
布の取り寄せから縫製、試着、修正までを、わずか半年で繰り返しました。
通常なら一年以上かかるプロセスを、開発チーム全員が集中して走り抜けたのです。
「少しでも違和感があるなら、作り直そう。」
そんな言葉が何度も飛び交いました。誰もが“納得できる1枚”を信じて動いた結果、ようやく完成したのがこのSOLitudeインナーです。
7.最後に――セルフケアは、クールでいい

開発者の言葉を借りれば、
「体を守りながら、おしゃれでいられる。そんな当たり前を叶えたかった。」
という想いが、この製品には込められています。
“セルフケアはクールである”というメッセージ。
それは、見えない部分まで自分を大切にすることの象徴です。
着るたびに少し背筋が伸びる、そんなインナーでありたい。
